あっという間に手術台の上。

麻酔が少しずつ効いてきて、

下半身の感覚がなくなっていく。

それにしても、医療スタッフの方が本当に多い。

平日の夕方。

たくさんのスタッフがいる時間帯に手術できるのはありがたいなぁ。

そんなことを考える余裕があるくらいには、

まだ少し冷静でした。

そして手術が始まり――

本当にあっという間にお腹を切られ、

下にいた男の子から先に誕生。

続いて女の子。

時計が見える位置だったので覚えているけれど、手術開始からそんなにたたず

ふたりはわずか2分差で産まれてきました

「え、もう?」というくらいの速さ。

でも、その直後に思いました。

あれ?

泣いてない?

そういえば男の子の泣き声を聞いていない。

後から聞いた話では、

男の子は仮死状態だったそうです。

しばらくして、

二人とも私のところへ連れてきてもらえました。

本当に一瞬だったけれど、

ちゃんと顔を見ることができて安堵

そしてそのままNICUへ。

私はというと、

そこから周りの空気が少し変わったことに気付きます。

麻酔でぼんやりする中、

聞こえてくる言葉。

「子宮が収縮しません」

「オキシトシン追加」

「出血が止まりません」

「ゆるめないで、押さえて」

「輸血の準備を」

急に身体が寒い。

そして、とにかく眠い。

ものすごく眠い。

ぼんやりした頭で思いました。

「あれ…これは、もしかして結構まずい状況なんじゃない?」

やっと子どもたちが生まれてきたのに。

こんなところで死ねない。

寝たらそのまま目が覚めない気がして、

必死に起きていました。

(今思えば、たぶん関係なかったと思いますが。)

その後も、

「輸血のための採血を」

「止血用のバルーンを入れて」

という声が飛び交い、

ようやく出血が落ち着いたようでした。

二人が生まれてから約2時間。

その時ようやく、

「……助かった」 そう思えました。

外で待っていた夫は、主治医の先生から

説明を受けたみたいで、

普段は冗談ばかり言って、

何でも笑いに変えてしまう人なのに、

再会した時の顔は違いました。

心配が張り付いたような表情。

あんな顔を見たのは初めてだったかもしれません。

後から振り返ると、

予定していた帝王切開まであと5日。

大きくなりすぎた私の子宮は、

うまく収縮できなくなっていた様です。

危なかったけれど、

もしあと5日待っていたら。

もし前日に双子たちがあれほど大暴れしていなかったら。

もしあの日、健診に行っていなかったら。

私も子どもたちも、

もっと危なかったのかもしれません。

そう思うと、

あの日の激しい胎動は、

「早く出してー!」

という双子からのサインだったのかな、

なんて思ったりします。

まるで子どもたちに助けてもらったような、

そんな気持ちです。

主治医の先生からは、

「当直の時間帯だったら対応できなかったかもしれない」

とも言われました。

本当にたくさんの偶然と幸運が重なって、

今があるのだと思います。

出血量は約1700ml。

人生で一番たくさんの血を失った日でした。

手術に関わってくださった先生方、

助産師さん、

看護師さん、

そして医療スタッフの皆さんには感謝しかありません。

とても怖い体験だった。でも改めて、

出産は命懸け。

無事に生まれてきてくれることは当たり前ではなく、本当に奇跡なんだと実感しました。

これから先の毎日を、

家族みんなで大切に過ごしていきたい。

そう強く思った出来事でした。

haru